MSPが顧客のSaaSデータをバックアップすべき理由

18 July 2022

読了時間：4分

執筆者：Anju George

ブログ記事

SaaS（Software as a Service）市場は、過去10年間で着実に成長しており、コロナ禍によってその成長をさらに加速させ、より多くの企業がクラウドに移行しています。

平均して、企業は110種類のSaaSアプリケーションを使用しており、この数は今後3年間で倍増する可能性があります。

Bettercloud SaaSopsレポート-2021

SaaSアプリケーションは企業で広く使用されているため、さまざまな理由でデータ損失のリスクが高まっています。ほとんどのSaaSアプリケーションは、顧客のデータのバックアップについて責任を負わないことを明示しており、サードパーティのバックアップツールを使用することを推奨しています。

だからこそ、顧客にとって信頼できるアドバイザーであるMSP※（マネージドサービスプロバイダ）は、SaaSアプリのデータを定期的にバックアップし、ビジネスデータが常に利用できる状態にしておく必要があります。

※ MSPとは、顧客のシステムやネットワーク、セキュリティなどの管理や保守、運用を代行する事業者を指します。

本記事では、以下の3つの重要な質問についてお答えします。

なぜMSPはSaaSのバックアップが必要なのか？
SaaSアプリにおけるデータ保護の課題とは何か？
MSPが、データ保護の課題をチャンスに変えるには？

なぜMSPはSaaSバックアップを必要とするのでしょうか？

コロナ禍でリモートワーク（在宅勤務）が普及したことにより、オフィスの生産性アプリケーションのクラウド化が加速しました。クラウドやSaaSアプリケーションに保存されたデータは、これまで以上に脆弱になっているため、重要なSaaSデータを保護することは顧客にとって最優先の課題となっています。

ここでは、MSPが顧客向けにクラウドバックアップソリューションを必要とする4つの理由をご紹介します。

1. SaaSのデータ損失から顧客を保護する

SaaSアプリケーションは非常に安全ではありますが、人的ミス（偶発的または悪意のある削除、上書き、同期エラーなど）や、ランサムウェア、フィッシングなどの脅威によるデータ損失は避けることができません。

調査対象企業のほぼ80%が、過去18ヶ月間に少なくとも1件のクラウドデータの漏洩事件を経験しており、ほぼ半数（43%）が10件以上のクラウドデータの漏洩を報告しています。

IDC-リサーチ

これらの事故は防ぐのが難しく、クラウドバックアップソリューションがないと、顧客の貴重なデータを復旧することは不可能です。

SaaSの標準機能を使った復旧方法では工数がかかるということと、復旧可能な期間に制限があるということから、多くのSaaSプラットフォーム自体が、データをバックアップするためにサードパーティのクラウドバックアップソリューションの使用を推奨しています。

2. コンプライアンス（法令遵守）の確保

国内の法令や業界ベースの規制に準拠することは、リスクを排除し、消費者を保護するために不可欠です。コンプライアンスに関するデータ分析機能（データインサイト）を提供するクラウドバックアップソリューションは、法的および訴訟上の要件を満たすのに役立ちます。罰金、訴訟、収益の損失、または長年かけて築いた信頼の喪失といった不遵守の潜在的な結果を考えると、コンプライアンスを守ることは組織の義務です。

GDPR、HIPAA、FINRA、CCPA、SOXなどのコンプライアンス法は、データ保護が共有の責任であると定めており、「物理的または技術的なインシデントが発生した場合に、個人データへの可用性とアクセスを迅速に復旧する能力」を持つことを要求しています。

3. 顧客のデータ損失コストを最小化する

MSP向けのSaaSバックアップソリューションは、顧客に対するデータ漏洩の影響とコストを最小限に抑えるのに役立ちます。ごく短いダウンタイムでも、顧客のビジネスに深刻な影響を与える可能性があります。データ損失からの復旧に時間がかかればかかるほど、MSPと顧客のコストは増大します。

適切なクラウドバックアップソリューションを導入することで、顧客の回復ポイント目標（RPO）および目標復旧時間（RTO）を最小化し、より迅速な障害復旧を確保できます。最適なRPOとRTOは、データ損失による金銭的影響やダウンタイムの影響を軽減し、ビジネスの継続性促進します。

データ漏洩のコストは、2021年に3.86百万ドルから4.24百万ドルに増加しました。重大なサーバー障害は、企業に対して1時間あたり500万ドル以上のコストをかけることがよくあります。

出典：IBM - データ漏洩のコスト 2022年レポート

4.データ保護がMSPの差別化要因に

他のサービスと共にデータ保護機能を提供することは、明確な収益機会です。顧客は、完全なデータ保護を提供するMSPを選定する傾向があるため、「データ保護」は最も重要な差別化要因の一つにもなっています。

自動バックアップ、ランサムウェアやフィッシング、コンプライアンス違反の検出、ポイントインタイムリストアを提供するクラウドバックアップソリューションを提供することで、MSPのサービスを向上させ、競合他社との差別化を図ることができます。

顧客のSaaSデータに対するデータ保護のセーフティネットを提供することは、MSPのUSP※（Unique Selling Proposition）になるはずです。 ※ USPとは、自社の商品やサービスが持つ独自の強みのことです。

MSPにおけるSaaSバックアップの課題

1.SaaSのバックアップ範囲に制限

ほとんどのSaaSバックアップベンダーは、バックアップできるSaaSアプリケーションが限定されています。多様なSaaSアプリケーションのバックアップを一元管理するためのバックアップソリューションが存在せず、これがSaaSのバックアップを複雑で高価なものにしています。すべてのSaaSアプリケーションのバックアップを管理するために統一されたインターフェースを持つことは、工数削減につながります。 SysCloudは、他のどのバックアップベンダーと比べても、より多くのSaaSアプリケーションをバックアップすることができます。SysCloudはGoogle Workspace、Microsoft 365、Slack、HubSpot、Salesforce、QuickBooks Online、Google Classroom、Boxをバックアップしており、今後、Xero、Zendesk、Shopifyを含む数十種類ものSaaSアプリケーションに対応する予定です。

2. サイバーセキュリティの脅威

中小企業（SMB）や大企業を狙ったランサムウェアやフィッシング攻撃が増加している現在、標準でランサムウェアやフィッシングの脅威を検出できるサードパーティのバックアップアプリケーションは、システム管理者やMSPがサイバー攻撃の脅威や悪意のある攻撃から迅速に復旧するのに役立ちます。

SysCloudのバックアップデータインサイト機能についてはこちらをご覧ください。

3. 高コスト

複数のSaaSアプリケーションを単一のプラットフォームからバックアップできるベンダーは数少なく、しかも、大企業向けを対象としており、中小企業（SMB）向けにはなっていません。

仮に中小企業向けに提供されていたとしても、そのサービスコストは中小企業にとって非常に高額に設定されています。そのため、小規模および中規模の企業が、複数のSaaSデータのバックアップを一元管理するには、限られた選択肢しかありません。

データ保護の課題をビジネスチャンスに変える

SysCloudのMSPパートナーになることで、顧客のSaaSデータを保護しながら収益増を見込めます。

一例として、MSPパートナーがSysCloudのMicrosoft 365バックアップを500ユーザーに対して導入した場合、年間の売上額は定価で19,000ドルになります。さらに、Salesforce、HubSpot、QuickBooks Online、Slackのバックアップも行った場合、収益は230%増加することになります。

さまざまなSaaSデータのバックアップを単一の画面で管理することで、複雑さが解消され、MSPパートナーはより迅速に収益をアップさせることに繋がります。